長期的な視点に立った歯科治療

院長のコラム

長期的な視点に立った歯科治療

原発ゼロに向けて、民主党政権が右往左往しています。
世論を受け、ゼロを目指すと言ったその翌日には経済界や他国の意向で、やっぱりゼロは取り消すと言ってみたり、誠にお粗末な有様です。

その点で比較されるのが、原発ゼロを推し進めるドイツのメルケル首相です。
この決定を行うに当たり、ドイツでは原子力の専門家を含まない社会学者・哲学者・倫理学者などが最終的な判断を下したそうです。その理由は「倫理は科学技術に勝る。」
短期的には支障もあるが、長い目で国の将来を考えた場合、廃止が望ましいという結論に達したのでしょう。
ドイツは長期的な視点でモノを考えている。
日本はとりあえずの目先の利益を優先し本質的な問題解決を先送りしている・・・

「問題解決の先送り」、これは歯科治療にも当てはまることです。
先日の患者さんは、詰め物が取れて来院されたのですが、取れた原因は詰め物の下の二次カリエス(虫歯)。治療の必要性を説明させていただいても、とりあえずそのままつけて欲しいというご希望です。痛みがないから治療したくないとのことですが、神経の残っている歯であれば、やがて痛みを生じ、神経を取らざるを得なくなり、歯が脆くなっていきます。神経を取ってある歯の場合はもっとやっかいで、末期症状になるまで痛みが出ないこともあります。痛みがないから大丈夫ということは決してないのです。
虫歯の状態でそのまま詰め物をしたら、虫歯はその下で着々と進行し、詰め物はいずれ確実に取れます。その時には、もしかしたら抜歯を免れない状況になってしまっているかもしれません。

長期的な視点に立った歯科治療「歯の1本くらい無くなっても・・。」と思われるかもしれませんが、口腔というものは1本1本の歯がそれぞれの機能を果たし、それが集まって歯列となり、初めて咀嚼(そしゃく=噛み砕くこと)や発音器官としての機能を発揮しています。歯が1本無くなれば、噛む能力が低下するのみならず、前後の歯が倒れてきたり、噛み合せる歯が下がってきたりして歯列全体の噛み合わせが悪くなります。その結果、顎関節症や肩こり・頭痛など、全身に不定愁訴をきたすこともあります。

「歯科治療がどうも苦手」、「忙しくて通院の時間が取れない」など、患者さんにもいろいろご事情があることは充分理解できます。しかしながら、ご自分の体の「問題解決の先送り」をしていると、どこかの段階で思いもかけなかった大きな問題になってご自分に跳ね返り、「あぁ、もっと早く治療をして入ればよかった・・・。」と思うことになるかもしれません。特に虫歯は内科疾患と違い、自助努力による生活改善や、免疫力での自然治癒はあり得ません。この長寿社会を健やかに乗り切りためには、歯科に限らず、長期的な視点に立ち、なるべくやり直しのない治療を受けて頂くことが、真のご自身の幸福につながるのではないでしょうか。

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