歯の食いしばりにはマウスピースを

11月に入りましたね。
早いもので今年もあと2ヶ月になりました。
この週末、私は文化の日に開催される娘の学校の文化際に行って参りました。
娘はチアリーディングに入っているのですが、これまで毎日、文化祭に向けて猛練習をしていました。

チアリーディングはダンスだけの構成ではなく、アクロバット的な動きも取り入れているので
怪我もたえません。捻挫、打撲は当たり前で、湿布を貼ったり、テーピングをしながら日々、練習に励んできました。

本番ではこれまでの猛練習の成果も出て、ノーミスの完璧な演技でした。
周りの保護者の方々も皆さん、目を潤ませながら見ていました。私も同様でした。

チアリーディングでは、下て支えるスポットというポジションがあるのですが、上から落ちてくる子をキャッチをしたり、また、上に持ち上げて支えるので、力を入れて歯をくいしばる事が多く、大変なポジションです。その中にマウスピースを装着している子がいて、私は仕事柄、直ぐにそういう所に目がいくようで気になってしまいました。

チアリーディングに限らず、歯をくいしばるスポーツや、力仕事など色々な場面で無意識に力が入ってしまう方は、歯を守る為に、マウスピースは非常に効果的です。
当院サイトの咬合治療のページに食いしばりについて記載がありますが、自分の体重程の力が歯に加わるそうです。特に夜間の歯ぎしりや食いしばりは無意識なので、それが原因で歯根破折をおこす方も多くおられます。

私も娘がスポットのポジションになった時には、マウスピースを作って娘の歯を守ってあげたいと思いました。

吉田デンタルクリニック
歯科衛生士 青山

「こんなに楽になるんですね。」

先日、噛み合わせの治療をされた方がその次に来院された際のことです。
院長先生から「その後、噛み合わせの具合は如何ですか?」と聞かれて、患者さんが
「楽ですね~。こんなに楽になるんですね。」
とのコメントが受付まで漏れ聞こえてきました。

この方に限らず、咬合治療を終えた患者さんが「晴天の霹靂」とか「肩がすっきりしました」とのコメントは受付で私も伺ったことがあります。

インプラントや、最近ではご来院動機として最も多い歯根破折などの治療に比べると、なんとなく地味な治療ではありますが、よくよく考えてみれば、歯の第一機能は食べ物を噛むということですから、噛み合わせは基本中の基本ですよね。

院長先生はドーソン咬合理論を勉強されて、ご自身のなかで確固たるものができたことが、治療の根源になっていると以前のコラムに書いておられます。

噛み合わせは加齢とともに変化していくそうです。
私事で恐縮ですが、下の歯で1本、以前から内側に倒れているものがあるのですが、加齢とともにドンドン倒れ加減が激しくなり、その影響で他の歯並びも乱れて参りました。

今のところ、噛み合せに支障はないと(自分では)思っておりますが、一度、院長先生に見て頂きたいなぁと思っています。
何時でも診てもらえると思うと、これが全然、診てもらえないんですよね。紺屋の白袴・・・

吉田デンタルクリニック
受付 菊地

歯科医師人生における4人の師 ②

前回に引き続き私のメンターと言える4人の先生のうち、残りのお2人について紹介させて頂きます。私が歯科医院を開業してからお世話になったカリフォルニア在住のTeru Harada(てる はらだ)先生と、眞坂歯科医院の眞坂信夫(まさか のぶお)先生です。

まずHarada先生についてです。
私がまだ開業して間もないころ、カリフォルニア州パロアルトで開業されている同先生によるドーソン咬合(噛み合わせ)理論の講習会の案内が歯科雑誌に掲載されていました。咬合が極めて大切である歯科補綴(しかほてつ)学の講座に在籍していたにもかかわらず、確固たる咬合理論を身につけていないことがずっと気になっていた私は、思い切って数日間休診し、この講習会に参加しました。

日本語と英語が混じる奇妙なレクチャーでしたが、その内容に感銘を受け、その後も5回、先生の講習会に通いました。その後、Harada先生が来日してレクチャーをするようになったため、日本でのコース開催に携わるようになりました。
下の画像は2005年に当院で行われた講習会のものです。

Harada先生からご教示頂いた咬合理論は現在の私の治療の根幹となっています。
この咬合理論の習得無くしては自信を持って治療を行えなかっただろうと思うと、思い切ってパロアルトに行って良かったなとつくづく思います。Harada先生は数年前にリタイアされ、お目にかかる機会もなくなりましたが、私の好きなワインの産地ナパ・バレーにも近い先生のお宅をまた訪ねてみたいと思っています。

最後は破折歯保存治療についてご教示頂いた眞坂信夫(まさか のぶお)先生です。
東京歯科大学の大先輩ですので、以前からお名前は存じあげておりましたが、6年ほど前、大学の同窓会主催の講習会で歯根破折の治療についてお話を伺う機会を得ました。

学生時代、大学では破折した歯の治療方法は抜歯と教えられてきましたので(現在も同じだと思います)歯根破折症例に対しては、私もそれまでは教科書通りに何の迷いも無く抜歯を行って参りました。

歯根が割れた歯を残すことができるなんて、まさか(眞坂)ね・・・」と、最初は半信半疑だったのですが、先生のお話が進むにつれ、治療の理論背景がしっかりしており、長期の経過症例を見せていただいたことにより、頭の中に一筋の光が走ったような衝撃を感じました。

その後、眞坂先生が個人的に講習会を開催していることを知り、すぐに参加いたしました。以来、この治療法を自分の臨床に導入し、多くの患者さんの歯を保存することができました。

私の専門は失われた歯をインプラントブリッジ・義歯などで補うこと=補綴(ほてつ)ですが、歯を失わずに済めば、患者さんにとってはその方が遙かに望ましいことだと思います。
実は、私自身の歯にも信頼できる先生に本法で加療していただき、1本保存することができました。自分自身で受けているのでよく分かるのですが、歯を抜かずに残せたときの喜びは非常に大きいものです。受付で涙を流される患者さんもおられます。

このような治療法を開発され、ご自身の専売特許とするのではなく、後輩の歯科医に教えて下さった眞坂先生には本当に感謝しております。私より17年先輩ですが、非常にお若く、自ら講習会や勉強会を開催され、またWEB会議を取り入れるなど、新しいことにもどんどん挑戦されているお姿には感動させられます。

ここまでに紹介させていただいた4人の先生方、いずれが欠けても、歯科医師としての現在の私はありませんでした。このような先生方に出会う機会を与えて下さった神様に感謝せずにいられません。

4人の先生方から教えて頂いたことは、私もいずれ、後輩達に引き継いでいきたいと考えております。

危険な「ブラキシズム」をご存じですか?

危険な「ブラキシズム」をご存じですか?

ここ数年、歯の根が折れた・割れたという主訴で、歯根破折保存治療噛み合わせ(咬合)治療を希望される患者さんが増加傾向にあります。
今回はそれらと深い関わりを持つ、ブラキシズムについてのコラムです。

「ブラキシズム」とはなじみのない言葉だと思いますが、「歯ぎしり」でしたらご存知でしょう。
この歯ぎしり・噛みしめ・食いしばりを総称して「ブラキシズム」といいます。
そして、このブラキシズムは、皆さんの想像以上に歯には大きなダメージを与えてしまいます。

一般的に人が歯を失う原因は、外傷を除けば細菌感染と噛み合わせの力の問題によるものです。
1位の虫歯や歯周病は、主たる原因が細菌感染で、2位の歯牙・歯根の破折は、噛む力の問題によります。

もちろんブラキシズムが無くても歯が割れる可能性があります、ただ、ブラキシズムのある方の場合、歯牙・歯根の破折の可能性は非常に高くなります。また、ブラキシズムによる悪影響は歯牙・歯根破折のみならず、顎関節症、歯の摩耗、知覚過敏など、様々な症状を引き起こします。また歯周病にブラキシズムが加わると、急激に歯周病が進むともいう報告もあります。

ただ、やっかいなことに、ブラキシズムはなかなかご自身では認識しづらいものです。
就寝中の歯ぎしりは音が出ますのでご家族に指摘されて発見される場合もあるのですが、噛みしめは音が出ないので、他覚的には分かりにくいものです。私たち歯科医師や歯科衛生士がお口の中を拝見し、すり減った歯の状況から判明することが殆どです。

このブラキシズムの原因なのですが、残念ながらまだはっきりとは解明されておりません。
全身的な因子としては先天的なもの、ストレスなどがあげられます。また、局所的因子(口腔内の問題)としては噛み合わせの問題が挙げられています。

原因が明確でないため、治療法にも明確な指針がないのですが、全身的な因子によるものは、歯科医院では治療困難であり、対症療法としてナイトガードの使用があげられます。

ナイトガードとは、夜間、就寝中にマウスピースを装着して頂き、歯ぎしりや噛みしめがあっても、マウスピースがクッションとなり、個々の歯へのダメージを軽減しようというものです。
当院では3種類の素材のナイトガードを扱っております。薄い素材のほうが違和感は少ないのですが、その分、耐久性に劣ります。厚ければ耐久性には優れますが、その分、装着時の異物感が強くなります。

ブラキシズム

また、ブラキシズムが原因での歯根破折を起こした場合、せっかく治療が成功しても、ブラキシズムにより再度その歯、もしくは他の歯の破折を起こす可能性があります。そのような場合、予防処置としてナイトガードの装着をお勧めしています。噛み合わせの問題については歯科界でも統一見解がないのですが、当院では咬合調整を推奨しています。

虫歯が減りつつある現在、次に注目される口腔の問題がこの「ブラキシズム」なのです。
ただこのストレス社会ですから、なかなか根絶は難しいかもしれませんね。
頬杖をつかない、電話を首に挟んで話さないなど、ちょっとした習慣を改めることで、ブラキシズムを起こさずに済むかもしれません。当院では、このブラキシズムについてわかりやすく説明した書籍を待合室に置いております。是非一度ご覧いただき、ご自身にブラキシズムが無いか、セルフチェックをなさってみてはいかがでしょうか。

あまり噛みしめると・・・

あまり噛みしめると・・・

サッカーワールドカップ、真っ最中です。寝不足の方も多いのではないでしょうか。
私も気が付くと手に汗を握り、見ると手のひらが真っ赤になっていることもしばしばです。
ですが、力が入っているのは手だけではないかもしれません。
知らず知らずのうちに歯を食いしばっている可能性も高いのです。
この無意識の食いしばり(噛みしめ)、歯にとってはかなり厄介なのです。

ヒトは普段、上下の歯は噛み合っていないのが一般的です。
噛む筋肉や歯を支える歯根膜という靱帯は通常は休んでいて、いざ噛むときに力を発揮するわけです。ところが噛みしめの習慣がある人の筋肉は休むことなく働き、靱帯にも力が加わり続けることになります。筋肉が休むことができないと顎関節症や肩こりの原因となります。また、歯周病の原因は細菌感染ですが、靱帯に力が加わり続けることは歯周病を進行させる因子になります。

夜、寝ているときの噛みしめや歯ぎしりはさらに大きな影響をもたらします。
一般的にものを噛む際、奥歯では自身の体重と同じくらいの力が発揮されます。けれども、夜間、無意識に発揮される力はその数倍にもなると言われています。歯ぎしりにより歯の噛む面は摩耗し、根元のエナメル質は剥離して知覚過敏や虫歯の原因となります。更にひどい場合には、自分で自分の歯を割ってしまうこともあります(歯根破折)

たかが食いしばりといって侮れません。虫歯でもないのに、どの歯と特定できずに痛みがある、入れたばかりのセラミックの詰め物が、固いものも食べたわけでもないのに気が付いたら欠けてしまったなど、そのような問題も引き起こしかねません。

このような悪さをする噛みしめ・食いしばりを防ぐ、もしくは被害を最小限に抑えるための治療法ですが、その原因によって異なります。

  • 夜間の無意識な噛みしめ・歯ぎしりにはマウスピースの装着が効果的です。
  • 昼間の噛みしめの場合、マウスピースを装着していると見た目に悪く、また会話がしづらくなりますので、ご自分で噛みしめないように意識することが大切です。また、長時間、根をつめてパソコンに向かうなど、同じ姿勢を取り続けないことも予防のひとつです。
  • ストレスが原因の場合、ストレスを取り除くことが一番ですが、職場が変わったら歯ぎしりがひどくなったとおっしゃる患者さんもおられるように、現代社会ではある程度のストレスはつきものです。うまくストレスと付き合ってやり過ごしていただくか、難しい場合は、やはりマウスピースの装着が効果的です。
  • 噛み合わせのずれが原因の場合もあります。これは自覚が難しく、ご自分では気がつかない場合がほとんどです。当院では初診時、噛み合わせのチェックをさせて頂くことが多いのですが、4人に1人は、大なり小なり噛み合わせのずれが認められます。これが原因の場合は、噛み合わせの調整をすることにより歯ぎしり・噛みしめの症状が焼失・軽減します。詳しくは「顎関節症・咬合治療」をご覧ください。

サッカーワールドカップに起因する一過性の噛みしめは、もう少し我慢すれば、4年間は治まるでしょう。私も含めて、気を付けましょう。

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“噛む”ということ

“噛む”ということ

先日、アメリカ・アリゾナ州で行われた3日間の歯科の講習会に参加して参りました。
内容としては、歯がすり減ってしまった患者さんに対し、噛み合わせを十分に考慮したうえでいかに効果的な審美治療を実践できるかに関するものでした。

重要なことはということです。噛み合わせを考えない歯科治療は顎関節症などの機能障害や被せ物の破折など、失敗につながります。

歯はもともと、食べ物を噛むためにあるのだから、歯医者が噛み合わせを考えるのは当たり前だろうと皆様はお考えになるでしょう。ですが、実際には全ての歯科医師が噛み合せを十分に理解しているわけではなく、どちらかというと、患者さんからもはっきりわかる見た目の綺麗さ、つまり審美性を優先し、噛み合わせを二の次にした歯科治療が残念ですが実際に存在します。

写真私たち歯科医師は、歯の詰め物、被せ物などをお口の中に装着する際に、高くないか、きつくないか、必ず患者さんに噛んでいただいて確認します。ですが、本当の意味での正しい噛み合わせはそんなに単純なものではありません。人間の体は本当にうまく出来ており、顎の関節の構造により、人はどの位置でもとりあえずは噛むことができるのです。間違った位置でずっと噛み合せが固定されてしまうと、いずれ耐え切れなくなった顎関節と顎の筋肉が悲鳴を上げて、顎の痛み、肩こり、頭痛などの症状が出てくる場合がありますので、歯科医師が間違った判断をしてしまうと体全体に関わる重大な事態を引き起こすことになりかねません。

かくいう私も学生時代に噛み合わせについて教育を受けましたが、お恥ずかしい話ですが、明確な理解をしておりませんでした。今となって考えると、教える側にも確固たるものがなかったのではないかと思います。卒業して大学院へと進み、助手、講師と進んで補綴の専門医となり、私自身が教える立場となっても、状況は同じでしたので本当に冷や汗ものです。

その後、開業して2年後の1999年、サンフランシスコ近郊で開催された噛み合わせについての講習会が私の興味をひき、とりあえず参加してみました。そこで初めて自分で納得のいく噛み合わせ(専門用語で咬合[こうごう]といいます)理論に接することができたのです。

講師である日系アメリカ人、Dr. Teru Haradaによるドーソン咬合理論の講習と実習に感銘を受けた私はその後、4回にわたり足を運び、自分の血肉になるよう励みました。現在、この講習会はDr. Haradaが来日して日本で開催されており、私もアシスタントを務めるまでになりました。(このあたりの内容については当サイト内の診療科目(顎関節症・咬合治療)のページ でもう少し詳しくお話させていただいております。)

現在、多種多様な咬合の理論が存在し、なかには特殊な機器を使用し、かなりの額の治療費を設定しているところも見受けられますが、ドーソン理論には特別な道具等は必要なく、理論を理解し、トレーニングを受けたならば、歯科医師ならある程度のレベルまで実践できるものです。以前は顎関節症の患者さんが来院されると、即効性のある適切な治療法はないものかと悩ましい日々を送りましたが、今では確信を持って治療に当たることができ、また、患者さんにも治療結果に満足していただけるようになりました。また多くの歯を失い、噛み合わせが崩壊してしまって、何を基準に治療を考えたらよいかわからなくなってしまった患者さんの治療も明確なゴールを持って、迷い無く治療に進むことができるようになりました。

この理論を日本でも多くの歯科医師が理解し、実践していただこうとDr. Haradaや仲間の先生方と一緒に頑張っているのですが、インプラント療法などとは違い、医院の増収にすぐには直結することのない咬合の講習会は日本では地味で、人気が低いのが現状です。

今回のアリゾナでの講習会も、お盆の時期ということもあって、航空運賃もかさみ、また現地への往復の移動時間と講習会の参加時間がほぼ同じ、さらには自由時間が全く無しのトンボ帰りという強行軍でしたので、疲労困憊で帰国した私を見て、家族からは“それほど大事な勉強会なのですか?”という、ギモンというか、ヒハンの目が向けられました。

しかしながら、今日も咬合治療を受けられた一人の患者さんが、いつの間にか、噛み合せが楽になって、噛むことを意識しなくなったと、喜んでお帰りになりました。こういう方が一人でも増えていくことが私の願いです。患者さんが正しく噛めるように治療するのが歯科医師の使命、これからもアメリカに通いますぞ!