歯周病はなぜ痛まないの?

歯科衛生士の青山です。
定期検診の際、当院では最初に歯周ポケット検査を行なっております。少しチクチクしますが、歯周病の進行具合を知るための大切な検査です。

1年ほど前に他院から転院された患者さんなのですが、検査のデータが悪化しており、数か月毎のクリーニングだけでは改善が難しくなったため、歯周ポケットの深い部分をお掃除する歯周治療をお受け頂くことになりました。
前の歯科医院さんでは長く検診には通っていらしたようなのですが、今まで痛みもなく、よく噛めていたので、まさか私が歯周病だなんて夢にも思わなかった・・・とおっしゃっておられました。

その方から
虫歯は痛くなるのに、どうして歯周病は痛くならないの?」とご質問を受けました。
私達歯科衛生士は歯周病のメカニズムを理解しているので痛みが出なくても特に不思議には感じませんが、そうですよね、患者さんにとっては素朴な疑問だと思います。

その理由は、歯周病はかなり進行するまで痛みが出にくいからなのです。なぜ出にくいかというと、歯周病は歯周ポケットに入り込んだ歯周病菌が起こす病気です。歯周病菌に感染すると膿が生じるのですが、初期の段階では歯周ポケットから排出されるため、痛みが生じないのです。

ところが歯周病が進行すると歯周ポケットの深いところで膿が生じ、外に出にくいので歯周組織が圧迫され、痛みを感じ始めるのです。
自覚症状がないため歯科にかからず、痛みが出て検査を受けたら、すでに重症化しているという診断を受ける場合が多いのが歯周病の特徴と言えます。

歯周病は日本人の約80%が罹患していると言われ。現在、虫歯に次いで歯を喪失する原因の第2位で、約半分を占めるとも言われています。(ちなみに第3位が歯根破折によるものです。)

歯周病を防ぐには、毎日の正しい歯磨きで確実に歯垢を除去し、定期的に歯科医院で検診を受け、予防する事が何よりも大切なのです。歯が揺れたり、歯茎から出血する場合には、手遅れになる前に、歯科を受診なさってくださいね。

吉田デンタルクリニック
歯科衛生士 青山

歯科定期検診での気づき

こんにちは 歯科衛生士の島村です。
先日6か月の定期検診にいらした患者さんのお話です。

いつも通りに歯周病の検査をすると、これまでずっと問題が無かったのに出血している箇所が増えていました。

ホームケアで何か変わった事はなかったか伺ったところ、前回の定期検診時はデンタルフロスを毎日使用していたけれど、最近、少しサボり気味なんです・・・“とのことでした。
まさかこんなに顕著に結果が出るなんてびっくりです。ともおっしゃっておられました。

そうなんです!たかがデンタルフロスと思われるかもしれませんが、以前のブログにも書かせて頂いたように歯ブラシも歯間ブラシ届かない歯間の清掃に、デンタルフロスは必要不可欠なものです。歯ブラシとセットで行うことでより口腔内の菌のコントロールに役立ちます。

実際に定期検診にいらっしゃらなければ気づかなかった変化です。
早目に歯肉の炎症のサインに気づくことが出来れば、そこからまたケアを再開して歯肉を健康な状態に戻すことも可能です。

患者さんと一緒に、歯科衛生士の私も定期検診の重要さを、より気付かされた出来事でした。

吉田デンタルクリニック
歯科衛生士 島村

Miniature People Sitting on a Dental Mirror.

Miniature People Sitting on a Dental Mirror.

杭工事データ改ざんから医療の倫理について考える

杭工事データ改ざんから医療の倫理について考える

少し前になりますが、横浜のマンションの基礎杭工事で、データの不正改ざんが発覚しました。
その後、全国で同様の問題が次々と報告され、業界全体を揺るがす大きな問題になっています。

一連の報道を見ながら、私はある患者さんのことを考えていました。
この方は、ご自身のご両親の代から同じ歯科医院におかかりで、口腔内を拝見すると全て保険外の被せ物で修復されており、これまでかなりの額の治療費をかけられていると推測されました。

ではなぜこの方が当院にいらしたかというと、歯茎からの出血が続いていたため、かかりつけの歯科医に相談したところ、問題は無いと言われ(!)、次に内科医に相談したところ、全身的な問題で歯茎からの出血が常態化するとは考えにくく、歯の問題である可能性が高いとのご判断で、その内科医の紹介で当院にいらしたのです。

歯茎からの出血で最初に疑われるのは歯周病です。
歯周精密検査の結果、健康な歯茎であれば深さ2~3ミリであるはずの歯周ポケットが、浅いところでも7ミリ、奥歯は10ミリ以上で、全ての歯から出血が確認されました。

これは明らかに重度の歯周病です。
歯科医師ならこの重度の歯周病に気づかないはずはありません。
また、ここまで歯周病が進行するには、かなりの年月がかかっているはずです。
当院でただちに歯周病治療を開始しましたが、残念ながら既に保存不可能な歯もありました。

患者さんは長年、口臭と歯茎からの出血に悩み、歯槽膿漏(歯周病)ではないか?と何度尋ねても大丈夫と言われ続け、また、一度も歯周病検査を受けていなかったそうです。
かかりつけの歯科医はもちろん患者さんの歯周病はわかっていたはずですから、憶測ですが、(敢えて)告げなかったのではと思います。

ではなぜ告げなかったのか?
自院では歯周病治療を行っていなかったのかもしれません。歯周病治療は場合によっては痛みや腫れが伴います。セラミックを被せたり、ホワイトニングで歯を白くしたりなど、見てすぐ効果がわかるわけではないので、患者さんにはあまり嬉しくない治療かもしれません。
ですが、歯の土台をしっかりさせて、歯を長く持たせるためにはどうしても必要な治療であり、これは歯科医師であれば誰でも知っていることなのです。

杭工事データ改ざんから医療の倫理観について考える

杭工事の問題に戻りますが、テレビ番組の解説で、ある大学教授が、これは「住民に対する裏切り行為である。」と話されていました。
大手のデベロッパーの物件であることに信頼を寄せて、マンションという高額な買い物をしたのです。まさか基礎の杭打ち工事のデータに不正があったなどと、考えてもみなかったことでしょう。

この患者さんの場合も、残念ながら同様の状況ではないでしょうか。
歯を支える土台の工事(歯周病治療)をせず、綺麗な被せ物を入れてしまえば、患者さんにはその下は見えないからいいだろうということなのでしょうか。
ふと思ったのですが、このような治療は、杭工事の問題同様、日本全国で広く行われていることなのでしょうか。この患者さんがたまたま当院にいらしたので、私が気がついてしまっただけなのでしょうか?

どのような職業であれ、倫理は必要ですが、人の身体に責任を持たねばならぬ医療人は、より崇高な倫理が要求されるものと私は考えています。
歯周病があり、土台の具合が悪いところに高額な修復物を入れることなど、私には考えられないことです。

私が今すべきことは、この患者さんができるだけ長く、ご自身の歯で快適に噛めるような治療を行っていくことです。歯科医師としての倫理に従い、自分自身に恥じることのない治療をこれからも行っていきたいと、改めて再確認した出来事でした。

シニア世代の後悔第1位は・・・

シニア世代の後悔第1位は・・・

気持ちは若いつもりでも、いつの間にやら私も50代半ばとなり、自宅近くのシニアセンター(概ね50歳以上の方向けだそうです。)も利用可能な年代となりました。そろそろ老後のことを考える年になったわけですが、混迷する日本の政治を考えると、漠然とした不安はぬぐえません。
それで先日、手に取った雑誌が「プレジデント」、特集は「金持ち老後、貧乏老後」です。

特集の中で興味深かったのは、リタイア後のシニア1000人へのアンケート調査の結果です。アンケートの内容は「リタイア前にやるべきだったこと」で、調査の結果、健康に関する後悔のトップ3は以下のとおりです

第3位 「日頃からよく歩けばよかった」
第2位 「スポーツなどで体を鍛えればよかった」

そして、栄えある?第1位は
「歯の定期検診を受ければよかった」
そして特集の見出しには、「歯を失うと家計まで苦しい」ともありました。

リタイア前にやるべきだったこと

リタイア前にやるべきだったこと

読んでいて成程、と思いました。
歯に限らずですが、定期的に検診を受けている方の場合、問題が見つかった場合でもいきなり手遅れということはまず無いと思われます。例えば歯周病や虫歯が見つかっても初期の段階であれば治療に踏み切らず、定期的に数値を確認しながらご自身でのホームケアで現状維持できることもあります。

ですが痛くなって歯科医院に駆け込んだ場合、既に病気が進行し、残念ながら抜歯しか選択肢が無い場合もあります。歯を抜いてそのまま放置するわけにもいかず、ブリッジ・入れ歯・インプラントなど、欠損した歯を補う治療(補綴治療)に移行せざるを得なくなり、想定外の治療費がかさむことになるかもしれません。よって「歯を失うと家計まで苦しい」に結びつくのでしょう。

同じ特集内で、私が登録医をさせていただいている聖路加国際病院の日野原重明先生も、糖尿病の原因のひとつとして歯周病を指摘されています。「歯の健康を保つことこそ長寿の秘訣」とおっしゃる日野原先生ですが、100歳を越えて現役の医者の言葉には説得力があります。

当院も今年で開院17年目に入りますので、近隣のオフィスから長く通って下さった方が退職されて、ご自宅から定期検診にお越しになる方が増えてきました。ご自宅近くにも歯科医院は沢山あるでしょうが、遠方からお越しいただけるのは有難い限りです。そのような方々が身体的にも精神的にも若々しく、リタイア後の人生を楽しんでいただくことが出来るように、シニア世代の一員である私は今年も頑張ります。

以下は2012年11月号「プレジデント」より、「健康」についての抜粋です。

リタイア前にやるべきだったこと(フルサイズ)

リタイア前にやるべきだったこと(フルサイズ)

あなたの歯科検診は大丈夫ですか? - 歯周病検査の重要性 -

あなたの歯科検診は大丈夫ですか? - 歯周病検査の重要性 -

先日、暫くぶりで定期検診にいらした患者さんのお話です。
その方は10年来、当院にお越しいただいておりましたが、お仕事のご都合で転院されたのです。
ですが、戻っていらしたのでその理由を伺ってみると、
「今、かかっている歯科医院では定期検診といっても表面の汚れを落とすだけで、歯周病の検査をしてくれない。心配になったので、こちらで診て欲しい。」
とのことでした。

さっそく歯周病の検査をさせていただきましたが、当院を離れてから1年ほどでしたので前回の検査時から歯周病の数値に大きな変化も無く、患者さんは安心してお帰りになりました。
その際、ひとくちに歯科検診と言っても、医院によりずいぶんと内容に違いがあるものだと初めて気付かされました。そう言えば当院に初診でいらした方で、
「歯石を取ったことはあるが、歯周病の検査は初めて。」
とおっしゃる方が少なくありません。「あ~、なるほど」と納得いたしました。

あなたの歯科検診は大丈夫ですか?歯周病の検査とは、歯と歯茎の間の溝の深さ(歯周ポケット)を測定するものです。
チクチクする感じが苦手な方もいらっしゃるのですが、病気の正確な診断のためには欠かせない検査です。歯周病が進行すれば炎症により骨が溶けて減少し、骨の中に埋まっている歯の根が露出してきて歯がぐらぐらしてきます。
骨の状況はレントゲンでもわかりますが、歯周ポケット検査で歯の表側が何ミリ、裏側が何ミリというように露出度を測り、この数値により客観的に歯周病の状況が把握できますので、より的確な診断が可能になります。ちなみに当院では歯周ポケットのデータをパソコンに保管しておりますので、定期検診毎に数値の変化を容易に比較することができます。

歯周病の検査や治療をせずに歯茎の上に出ている歯の修復治療をすることは、私に言わせれば家を建てる際、測量や基礎工事をせず、いきなり上モノを作るようなものです。いくら見た目が綺麗でも、土台がしっかりしていなければ家は長持ちしません。歯も同様です。

歯周病は、虫歯と違って、痛みなどの自覚症状がなく進行する病気なので、程度にもよりますが、実は虫歯より深刻な病気なのです。また、近年の研究結果より、歯周病が糖尿病や心臓疾患の一因となることもわかってきました。ご自分の歯、ひいては生命を守るため、歯の定期検診時には是非、歯周病の検査も受けていただきたいと思います。