「黄金のアデーレ」

師走というのに暖かい日が続いています。
あまりに暖かいので、つい油断していたら、今年もあと少しなのですね。
数えてみたら年内の診療日はあと14日しかありません。
チクタク・・・チクタク・・・

さて、私は先日、久しぶりに映画館に出かけました。
少し前に見たTEDのスーパープレゼンテーションで、
“日曜日の夜にメールを打つなら、(=休日にお仕事するなら)、月曜日の午後には映画に行きなさい(=平日に遊びなさい)”つまりワーク・ライフバランスを見直しなさい、というプレゼンの内容にいたく感銘を受けたワタクシは、さっそく実践してみたのでありました。
(別に日曜日の夜にメール打ったわけでもないんですけどね・・)

前置きが長くなりましたが、映画の題名は「黄金のアデーレ」です。
この絵はもともと「アデーレ・ブロッホ=バウワーの肖像」という題名で、クリムトが描いた絵のうちの一枚です。
第二次世界大戦中、ナチスがユダヤ人の裕福な家族から略奪し、その後、絵の名前も「Woman in gold」と変えてオーストリア国有財産となりました。
それを、もともと所有していた家族である老婦人(アデーレの姪であるマリア・アルトマン 82歳)が、オーストリア政府を相手に裁判を起こし、紆余曲折を経て、絵が家族のもとに戻ったという実話です。

クリムトの絵に興味があった私は、数年前、クリムトの生誕150年に思い切ってウイーンを訪れました。ウイーンは洗練された美しい町で、あちこちの美術館でクリムトの絵を堪能させて頂きました。一番のお目当ては「接吻」という絵だったので、ウイーンのベルヴェデーレ宮殿には着いてすぐに出かけました。

このアデーレの絵も同じ場所に展示されていたはずなのですが、私が訪れた際には既にアメリカにわたっていて見ることができませんでした。
でもなぜか、この絵については既視感があったので、ウイーンで買い求めた図録を改めて見ると確かにこの絵が載っており、「アデーレ ブロッホ=バウアーの肖像」という原題でオーストリアギャラリー所蔵となっています。

この絵は2006年にはアメリカにわたったはずなので、「?」と思ってこの図録の後ろを見ると、1996年に発行されたもので、この図録が発行された時には、まだこの絵はオーストリアにあったのですね。だから、図録を見た私は、実際にこの絵を見たように思ったのでしょう。クリムトの絵って女性を描いたものが多いんですもの。それにほとんどどれも金ピカですし・・
実物を見られなくて残念・・・でも家族に戻ってよかったと思います。

映画館には年に1度、行くか行かないかですが、これは映画館で観る価値のある映画だと思いました。
単にクリムトの絵やウイーンの街並みが美しいだけでなく、ナチスによって目の前で生まれ育った家、宝物だった家財、家族・友人、大切なもの全てを奪われたユダヤ人家族の悲しみがひしひしと伝わり、館内ではあちこちで鼻をすする音が…(もちろん私もです)
ちなみにこの絵のなかでアデーレが着けているネックレス(全てダイヤモンド!)は、アデーレの死後、マリアにいったんは形見として贈られたのですが、その後、ナチスに没収され、ナチスの高官の妻が着けていたとか。
マリアの父はストラディバリのチェロを弾いていました。
当時のウイーンの上流社会って、想像もつかないくらいのお金持ちだったんですね。

ウイーンやクリムトの絵に興味が無くても、一見の価値がある映画だと思います。
以前、「クイーン」でエリザベス女王を演じたヘレン・ミレンは素晴らしい演技で、実在のマリアも、彼女を演じた女優もハンサム・ウーマンと呼ぶのにふさわしい女性たちですね。
お歳を召しても、素敵な方は素敵。見習わなくっちゃ。

吉田デンタルクリニック
受付 菊地

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