人間の体って凄い!

私が歯根破折歯保存治療を始めてから6年以上が経過し、症例数は500を超えました。

この間、私の技術も向上し、更にいろいろな工夫も凝らし、術式も改善して参りました。
それに伴い、助けることのできる歯も増えてきました。

治療後、抜歯を免れた患者さんはとてもお喜びになり、私の治療に対し、お褒めの言葉を頂くこともあります。しかしながら私が行っていることは他の医療行為と同様に、治癒(ちゆ)の手助けをしているに過ぎません。私が治しているのではなく、生体が自分で治っていくのです。

少し難しくなりますが、以下、説明させていただきます。

生体は体の中に非自己〔免疫学上、免疫系が自己と認識しない、生体内外の物質のこと〕
があると、それを異物として体外に出そうとします。
歯根が破折すると、その部分に感染を来します。生体はそれを非自己と認識し、肉芽(にくげ)組織で取り囲み、健全な組織から隔離します。私たちから見ると、歯根が破折すると腫れて膿が出るようになり、やがてグラグラしてくる状態です。

次に肉芽組織で取り囲まれた破折した歯根はやがて生体の外に押し出されます。それは私たちから見ると歯が抜け落ちる状態です。

歯根破折保存治療は歯根がこの肉芽組織で取り囲まれた状態で行われます。いったん抜歯して、肉芽組織を綺麗に取り去り、感染歯質を取り除き、破折部分を生体為害性のない接着剤で補修して戻してあげます。
すると生体はこれを自己と認識し、肉芽組織で取り囲むことなく、歯根膜組織および骨組織が再生し、健常な状態に戻っていくのです。

治療前のレントゲン写真で見ると歯根周りの骨がかなり失われていて、これは再植保存治療をしても助けられないかな?と思われる症例でもかなりの割合で助かるのです。
もちろんそれまでに失われた歯槽骨等はすぐには再生しませんので、完全に近い状態に戻るにはある程度の時間はかかりますが、時間の経過とともに戻っていきます。

この現象を簡単に言ってしまえば、生体は悪いものを取り除いてあげれば、自己治癒能力により、回復していくということです。人間の体って凄いなぁと、改めて驚かされます。

吉田デンタルクリニック
院長 吉田 浩一

microbe and red blood cells

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