歯根破折保存治療5年経過報告(成功率について)

歯根が破折した場合、通常の処置は抜歯です。
このような状況にある歯を抜かずに治す治療が歯根破折保存治療です。
当院で本法を開始してから昨年末で5年が経過しましたので、全治療のデータを調べてみました。
2012年11月17日に最初の症例を手がけて以来、口腔外接着再植法の治療経過は以下の通りです。

口腔外接着再植法適用症例数   243症例

そのうち治療が上手く行かなかったケースが27例あり、内訳は以下の通りです。

1.再植不可能        3症例
再植治療中に抜歯となったケースです。原因として、
①非常に歯質が脆く、形を保った状態で抜歯不可
②歯根の先端部分が骨と癒着しており、形を保った状態で抜歯不可
③虫歯の進行がひどく、形を保った状態で抜歯不可

2. 固定除去同日脱落      1症例
再植治療を行い、1か月後に固定を除去しましたが、同日に歯牙が抜け落ちたものです。
原因としては、ご本人が記憶にないほどの長期間、歯根破折の状況が続いていたため、再植時に歯根膜が殆ど残っておらず、歯槽骨に歯根が生着しなかったと考えられます。

3. 治療後に抜歯となった症例数  23症例 
固定除去までは問題ありませんでしたが、その後の経過が思わしくなく、抜歯となったケースです。原因としては
②再破折  7症例(同じ歯の他の箇所が割れてしまったものも含みます)
②動揺  16症例(再植は成功したが、歯の揺れが大きく実用にならなかったもの)

前回の経過報告では成功率は87%と申し上げましたが、現在の成功率は概ね89%ということになります。経験により手技が向上し、オリジナルの治療法に独自の工夫を加えてきたことが、僅かですが成功率の向上に寄与しているかと思われます。

一口に成功と言っても、その状況は様々です。
最も望ましい状況は破折前と同様に歯の動きも小さく、噛んでも全く違和感がなく、審美的(見た目)にも問題が無い場合ですが、多少のグラつきや、硬いものを噛むと違和感が残る場合もあります。もともと、あまり虫歯になっていない歯、破折して日が浅い歯、歯根がしっかりしている場合はかなり良好な結果が得られるようです。

歯根破折が疑われた場合、もしくは歯科医師より歯根破折と指摘を受けた場合、症状が無くても放置せず、出来るだけ早期に受診されることをお勧めします。

歯根破折保存治療5年経過報告(成功率について)

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