良質な歯科医療 ― 吉田カバンに通ずるもの ―

良質な歯科医療 ― 吉田カバンに通ずるもの ―

最近、興味深いドキュメンタリー番組を3つ見ました。

ひとつはBSの番組で「中国人によるメイドインイタリー」というような題名だったと思います。イタリアの服飾業界で、一労働者としてイタリアに渡った中国人グループが自身の縫製工場を立ち上げ、不法滞在の中国人労働者を雇って安く大量生産した製品をイタリア製として販売し、品質に劣るイタリア製が出回っているというものです。

ふたつめは「アウトレットの真実」という番組です。
もともとはB級品や、正規販売店での売れ残り商品を扱うはずであるアウトレット店ですが、アウトレットを訪れる客が増え、商品が足りなくなり、メーカーが最初から正規品より質を落としてアウトレット専売品を作ったり、海外で安い製品を購入し、タグだけ自社のものをつけてアウトレットで売っているというようなものでした。

そして、最後に見た番組が「吉田カバン」の特集でした。
吉田カバンは国産にこだわり、広告はしない、値引きはしない、そして職人を絶やすな、が社是であるそうです。仕事を請け負う職人はみな、高い品質が要求される吉田カバンの仕事は大変だと話されていましたが、会社は要求に応えられる職人には相応の報酬を支払うため、職人としてのやりがいを感じているようです。きちんとした職人であれば、粗悪品を作るよりは、多少の苦労はあっても良質なものを作りだすことに誇りを見出すはずです。厳しい価格競争のなか、削れる経費は削り、職人には真っ当な報酬を支払い、高品質なものを適正な値段で送りだしているのです。

良質な歯科医療 ― 吉田カバンに通ずるもの吉田カバン以前の2番組を見て、現代社会の有り様に閉塞感を感じていましたので、吉田カバンの放送に、“あぁこのような会社があるのだ”、と正直ホッとしました。
ホッとしたと同時に、待てよ?これは、我が吉田デンタルクリニックに共通するものが多いのでは?と思いました(知名度はかなり違いますが)。

当院も広告はせず、値引きもせず、先日、おかげさまで開院15周年を迎えました。
吉田カバンの職人を歯科に置き換えて見れば、歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士が職人に当たると思います。

当院の場合

  • 歯科医師は私のみで、全ての患者さんを私が拝見します。
  • 医療業界全体が求人難のなか、歯科衛生士の確保は大変ですが、資格を持っていれば誰でも良いというはずも無く、私が患者役になり技術面のチェックをパスした歯科衛生士を採用しています。
  • いくら私が頑張っても、肝心な修復物を作製する歯科技工士の技術が伴わなければ、良質のものは作れませんので、コスト度外視で安心して任せられるレベルの高い歯科技工士にお願いしています。当院だけは無いと思いますが、「技工料、お安くしますよ」という歯科技工所の飛び込み営業が頻繁に来ますので、技工の質を落として利益を上げることは容易かもしれません。これは患者さんからは最も解りにくいところですので、歯科医師の倫理観・職業意識に任されるところだと思います。

中国人によるメイドインイタリーでは、イタリア製の割には低価格と一度は買う人がいても、品質が伴わなければ、長く顧客であり続けるかは疑問です。
またアウトレットでは、売る商品が足りないからと専売品を作り、短期には売上が上がっても、ブランドイメージを損ない、結局は客離れを引き起こすことにならないでしょうか。

吉田カバンの場合、ここの商品であれば安心と、複数個のカバンを購入する客が少なくないそうです。それは、値段では中国製には敵わないけれど、しっかりとした製品で、しかもきちんと修理にも応じてくれる吉田カバンの製品は、長期間使用でき、結局のところお買い得ということになるのでしょう。

私も歯科業界の一職人として、「吉田先生に任せれば安心」とおっしゃってくださる患者さんを増やしていくことができるよう、地道に愚直に、職人芸を磨いていきたいと思っています。

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