欧米人の歯はなぜ綺麗なのか?

日本が史上最多のメダルを獲得したリオデジャネイロオリンピックが終わりました。
大会期間中、競技のハイライトシーンのスローな映像や、表彰台に並ぶ笑顔の選手達の様子が繰返し放映されていましたが、そのような時、職業柄、どうしても選手たちの口元に目が行ってしまいます。
そしていつも感じるのは欧米人の歯の美しさ、それに比較し、残念ながら日本人選手のデコボコの歯並び・見える箇所の銀歯の被せ物など、ついつい溜息をついてしまいます。

当院でも定期的に歯のクリーニングにお出でになる欧米の方が数名いらっしゃいますが、歯周病や虫歯は皆無で、ここ数年で私が行った治療と言えば、せいぜい親不知の抜歯くらいです。

ではどうしてこのような顕著な差が出るのでしょうか?
まずは骨格の相違です。
私達モンゴル系民族(モンゴロイド)は、もともと頭蓋骨が前後に短く、上から見ると横に長い形をしています。歯の並び(アーチ)はアルファベットのUの字の形をしていますが、その形が浅いため、叢生(ソウセイ=歯の重なり)や八重歯、反対咬合(=いわゆる受け口)などの発生率が高いと言われています。
さらに日本人は近年、硬いものを噛まなくなったことで顎が小さくなる傾向にあるのですが、1本1本の歯の幅が大きく、顎のアーチに綺麗に並びきれないことから、デコボコの歯並びになりやすいようです。

それに比べ、欧米人(コーカソイド)は縦に細長い頭蓋骨の形をしており、アーチは狭いUの字で、叢生は起こりにくくなっています。もちろん欧米人でも歯並びに問題のある人はいますが、歯に対する意識が高く、矯正治療は日本より普及しており、たとえ費用がかかっても殆どの場合、成人までに綺麗な歯並びに治します。
ちなみに欧米では八重歯はVampire teeth (吸血鬼の歯)と呼ばれ忌避されます。
一方、日本では八重歯は「愛嬌がある・可愛らしい・小悪魔的」等の評価をする人が少なくなく、わざわざ、つけ八重歯を入れる人までいらっしゃるようです。価値観の相違でしょうか。

Close-up  of a woman's glamorous smiling lips

Close-up of a woman’s glamorous smiling lips

次に考えられるのは歯科治療に対する考え方の相違です。
欧米では虫歯や歯周病は自己責任であり、健康保険適用外が殆どです。よって治療費は高額になるため、徹底したホームケアが根付いており、多種多様な予防歯科グッズも販売されています。
それでも虫歯になってしまったら、歯科医院に行くことになります。治療費は高額ですが、それに見合った質の高い治療が行われます。

翻って我が国では歯科治療は健康保険でカバーされるため、低料金で治療を受けることができます。よって患者さんはご自身の歯で一生噛むためにはどうすればよいか?という長期的な視点に欠け、とりあえずの治療で済ます場合も多く見られます。
さらに支払った金額に見合う治療とその後のご自身のホームケアの意識の欠如から二次虫歯を引き起こし、小さな銀歯の詰め物からより大きな詰め物、そして銀歯の被せ物やブリッジと、どんどん歯を失っていくわけです。

上記の2点以外にも日本の水道水の質(硬水・軟水、フッ素の含有)など、諸説あるのですが、これだけ国際化が進んだ現代社会で、オリンピックはもちろんですが、国際会議その他、世界の人と一堂に会する機会が多いなか、口臭があったり、歯並びがデコボコだったり、銀歯がキラリでは、日本人同士なら許されても外国人は容赦しないでしょう。歯の問題だけで、知的・経済レベルが劣っていると判断されたらちょっと悔しくないですか?

4年後はいよいよ我が国で東京オリンピックが開催されます。
骨格の相違は致し方ないですが、歯に対する意識は私達が変えることはできるはずです。
表彰台の上で、日本人選手の美しい歯並びの笑顔が見られるとよいなと思います。

ページトップへ