私達は“ジャガー”ではないので・・・

今日は土曜診療日であります。
昨日の金曜日、私が1週間とっても楽しみにしている「チコちゃんに叱られる!」の放送がありました。

そのなかで歯科医療従事者にとって興味深かったのが、動物のジャガーの話題です。
ジャガーは顎と牙が非常に発達していて、捉えた獲物の頭部をかみ砕いて仕留めるそうです。(放送では亀の甲羅に噛みついていました コワイ・・・)、
その力は凄まじく、既に絶滅してしまった巨大動物と闘うなら生かせた能力も、今の世の中では無用の長物・・・というようなちょっと残念な内容でした。

そこでお仕事熱心な菊地さんは、ふと、患者さんとの会話を思い出しました。
歯根破折の治療をされた方なのですが、お話ししているうちに硬いものがとてもお好きなことがわかりました。
破折治療後の経過観察中の歯に装着してある仮歯が取れていらしたのですが、グミを食べて仮歯を噛み砕いてしまったとのこと・・・
グミは避けて頂いた方が・・・(汗) とお伝えしたのですが、なんでも“噛みキング”という超硬いグミがあるそうですね。それもお好きだそうで、う~ん、歯には過酷な嗜好かも・・・

この方に限らず、受付でお話ししていると、歯根破折を起こす方はやはり硬いものがお好きな傾向にあるように感じます。あとは私のように歯の質が弱い方や、歯ぎしり・噛みしめなどで、自分で自分の歯を割ってしまう方などかな~と、あくまでも受付の感覚ですが、そのように思います。

残念ながら、人間の顎や歯はジャガーのように強靭ではありませんヨ。
歯が折れたり割れたりしても、永久歯はもう生えて来ませんヨ。
硬いものがお好きなお気持ちはわかりますが,、一生に1本の歯ですから、あまり酷使しないで、できるだけ長~く、ご自分の歯とお付き合い頂きたいなぁと思います。

吉田デンタルクリニック
受付 菊地

「こちらにたどり着くまで5軒かかりました。」

先日、初診で歯根破折保存治療のご相談にいらした患者さんが、開口一番、「こちらで5軒目なんですが・・・」と仰いました。
この方は結局、歯根破折治療ではなく、根管治療から始めてみることになり、ご自身で専門医を探すとのことでした。
患者さんの「5軒目」という言葉を耳にした受付が会計時、「あちこち歯科医院さんに行かれているようで大変ですね。」とお声をかけたところ、「歯は命ですから。」ときっぱり話されていたそうです。

これも受付情報なのですが、以前、同じ歯根破折保存治療を受けてセラミックの被せ物までなさった患者さんが、治療終了時に特に受付が尋ねたわけではないそうですが、「こちらにたどり着くまで5軒かかりました。」と仰った方がおられたそうです。
歯のために歯科医院を5軒回られて当院にいらした方が、少なくとも2人おられることを知り、歯の大切さをわかって下さる方が確実に増えていることを改めて実感させられた次第です。

私が歯根破折保存治療を手掛けるようになってから、早いもので8年近くが経過しました。
症例数も700例を超え、今ではこの治療に関連する患者さんを診ない日は無いというほどになりました。この治療を手掛けるようになって良かったこと、それは他院で抜歯といわれた歯を残すことができ、それが歯科医療の基本中の基本である「歯を保存すること」と一致していることです。

歯科大学を卒業した当時、私自身が最も興味のあったインプラント義歯、ブリッジを専門とする歯科補綴(ほてつ)学講座に大学院生として入局し、「失われた歯を取り戻すこと」から始まった歯科医師人生ですが、35年を超えて、歯科医師としての原点に立ち戻ったようで感慨深いものがあります。

本治療法をご教示頂いた故眞坂信夫先生の御遺志を継ぎ、本治療を行っている先生方と現在も月1度のオンライン勉強会を継続して行っています。

歯を大切にされている患者さん方のお力になれることは歯科医師として大変有難いことであり、自分なりに勉強・工夫を重ね、助けられる歯を増やすことができるよう、微力ながら技術の向上に努めて参ります。

吉田デンタルクリニック
院長 吉田 浩一

「やっぱり自分で探さないとダメですね。」

今週は歯根破折治療が終わり、被せ物まで当院でなさって治療が全て終了した方が多数おられました。

患者さんがお帰りになる際、「(患者さんも先生も)頑張って残した歯ですから、もうあんまり酷使しないで、大切にして上げてくださいね」とお伝えするのですが、何だか可愛いわが子を旅に出すような心持ちになります。

その中のお一人が、「やっぱり自分で探さなきゃダメですね。地元の歯医者の言うとおりにしていたら、今頃、この歯は無かったですよ。」としみじみと仰いました。

先生によって診療方針は様々だと思うので、どれが正しいかはわかりませんが、かかりつけ医であっても、その先生の方針にもし納得がいかなければ、自分で勉強して他の先生を
探すのも一つの選択肢かもしれません。

当院に歯根破折治療のご相談にいらっしゃる方は、かかりつけ医では抜歯してインプラントしかないと言われたが、抜きたくないので何とか残せないものか?とインターネットで検索し、当院にたどり着いたとおっしゃいます。

いつも思うのですが、「本当は抜きたくないけれど、歯医者にそう言われたんなら、仕方ないな・・・」と諦めて抜いてしまった方のほうがずっと多いのではないでしょうか。
積極的に自分で調べるか否かで、歯が残るか、残らないかの分かれ道になるのかもしれません。(ちょっと大げさですね・・・)

良くも悪しくもネットで簡単に情報が入手できる時代です。
歯に限らず、自分の体のことは自分で納得して治療を受けたいではないですか!
ご自身の体を大切になさって、できるだけ自分の歯を残したい!という患者さん方の熱意には本当に頭が下がります。
患者さんに教えられることが多いな、としみじみ思いますし、患者さんに「ありがとうございました」と最後におっしゃっていただける受付職は本当に役得ですね!

吉田デンタルクリニック
受付 菊地

天野篤先生の教え

先日、私が所属しているインプラントに関する勉強会、Club22(22はインプラントの素材であるチタンの原子番号)の勉強会が開催されました。勉強会ではいつもどなたか外来の講師をお招きし、特別講演をしていただくのが恒例となっています。今回の講師は上皇陛下の心臓手術を担当されたことで有名な順天堂大学教授の天野篤先生でした。

以前、私は天野先生の著書を拝読したことがあり、講演の内容は既に知っていることも多く、スムーズに頭の中に入ってきました。医師としての考え方やキャリアの積み上げ方など、これからの私にとって進むべき道を考えさせられる内容が多かったのですが、その中で特に最近、私自身が考えていることと合致するお話があり、非常に共感を覚えました。

それは、「同じ結果が出せるなら、仕事はスピーディーな方が良い」ということです。

治療時間が短縮されることにより、患者さんの身体的な負担も軽くなりますし、限られた診療時間内に、より多くの患者さんを治療できるようになります。奇しくも先日、「先生は手が早いですね!」との患者さんのコメントを受付がブログで書いておりました。

以前の私は、各患者さんに十分(過ぎる)時間をとり、ゆったりと仕事をしていました。その方が良い仕事ができると考えていたからです。ところが、最近は歯根破折保存治療を希望される患者さんが増え、患者さんにとっては、抜歯か否かの瀬戸際ですので、少しでも早く診てほしいとキャンセル待ちをされているような状況です。歯科医師1名体制の当院の許容を超える状態となり、これではダメだと考えるようになりました。

「患者さんのご希望に沿うためにはどうしたらよいか?」、自分自身に喝を入れて意識を変え、術式も工夫し、以前の3分の2の時間で処置を行うことができるようになりました。
このようにお話すると、ブログの患者さんのお言葉ではありませんが、手抜きでは?とお感じになる方もおられるかもしれませんが、術式の変更前後で得られる結果には変わりはありません。

ただ、このシステムを遂行していくためには治療前の準備と治療後の整理が必須となります。準備は前日の診療終了後に始まり、翌日の全ての患者さんの治療内容を確認し、頭の中でシミュレーションを行い、効率的な手順を検討します。翌日の治療時に手や頭が働かないような無駄な時間を作らないように集中し、診療終了後は限られた時間内に記録できなかった内容をカルテに記載していきます。ここまでやって1日の診療が終了です。

世の中では働き方改革が叫ばれ、当院でもスタッフにはなるべく残業を減らし、自分の時間を確保するように指導しているのですが、わが身を顧みると、全く世の流れに逆行しているようです。
神の手を持つ天野先生だったらもっと効率的に仕事ができると思うのですが、私は凡人なので、同じようには参りませんね。それでも来年からは更なる効率化を図り、診療室での滞在時間を多少なりとも短縮していきたいものです。

「残しても仕方が無いような歯?」

歯根破折保存治療が終了し、無事、歯がくっついてくれたことを確認し、最終的な被せ物が終了された患者さんのお話です。

この方は遠方からの通院となるため、治療開始前にまず当院のお問い合わせフォームで院長先生に問い合わせをなさったそうです。
近隣の歯科医院さんでは「残しても仕方が無いような歯!」と言われてショックを受けたそうですが、院長先生から残せる可能性があるという返信があり、思い切って新幹線でいらしたとのこと。

この方の場合、ご両親様が殆ど歯が残っておらず、義歯をお使いで、ご自身の歯の有難味を良くお分かりのようで、「残せる可能性があるなら行ってみれば?」と後押しされて当院にお越しになりました。

歯根破折治療のみでしたら3回で終了しますので患者さんとそれほどお話しする機会が無いのですが、被せ物までなさる方は、数か月通院いただくことになります。
自然とお話しする機会も増え、無事、治療が終了したときには、患者さんはもちろんのこと、私自身も同じ治療を受けているため、職務を忘れ、自分のことのようにとても嬉しくなってしまいます。

「残しても仕方が無いような歯!」と言われてしまった歯を、歯として機能する状態で残せたことは、遠方から通院して下さった患者さんのことを思うと、本当に本当に良かったなと思います。

吉田デンタルクリニック
受付 菊地

大きな柱を失いました。

院長の吉田です。
大変悲しいお知らせがあります。
既に公にされているため、私からお伝えすることに支障はないと思われますが、歯根破折保存治療の開発者である眞坂信夫先生が先月初旬、逝去されました。
以前から体調が思わしくないことは伺っておりましたが、7月の定例のWEB会議ではお元気に発言されておられたため、突然の訃報に絶句しました。

以前のコラムでも紹介させて頂きましたが、眞坂先生は私の歯科医師人生における4人の師のうちの1人です。
4人の師のうち、関根弘先生には歯科治療・研究への姿勢とその取り組み方を、小宮山彌太郎先生には欠損補綴の切り札であるインプラント療法とそれに取り組む歯科医師の姿勢を、アメリカのテル・ハラダ先生には、歯の最も大切な機能である噛み合わせの基本と開業医のあるべき姿を教わりました。

最後の眞坂信夫先生には、通常なら抜歯適用となる破折歯を抜かずに残す技術とその価値を教えて頂きました。歯根破折は虫歯、歯周病に次ぐ3番目の抜歯理由ですが、眞坂先生はこれを抜かずに残す方法を開発し、治療法の普及のため講習会等を開き、他の歯科医師に惜しみなく伝達してこられました。

歯科医師向けのみならず、一般の患者さんにも本療法を伝える努力をされて、PDM21(Professional Dental Management 21th Century)という組織を作り、前述のWEB会議も、この治療法を導入している歯科医師が、月に一度、症例報告等を行い、会員の知識の共有・レベルアップに大きな役割を果たしてこられました。

一度は抜歯を宣告された患者さんにとって、本療法と出会い、抜かずに歯を残すことが出来た喜びは大きく、口々に私に感謝の言葉をおっしゃるのですが、これは私ではなく、本療法をご指導頂いた眞坂先生への感謝に他なりません。

大きな柱を失った歯根破折歯保存治療ですが、眞坂先生のご冥福をお祈りするとともに、先生の御遺志を受け継ぎ、直弟子である私たちが本療法を継続し、割れた歯は、はじめから抜歯→インプラントと決めつけず、残せる歯は残せるような治療を(思えば当たり前の話ですが・・・)広めていかねばと思っております。

合掌

吉田デンタルクリニック
院長 吉田 浩一

人間の体って凄い!

私が歯根破折歯保存治療を始めてから6年以上が経過し、症例数は500を超えました。

この間、私の技術も向上し、更にいろいろな工夫も凝らし、術式も改善して参りました。
それに伴い、助けることのできる歯も増えてきました。

治療後、抜歯を免れた患者さんはとてもお喜びになり、私の治療に対し、お褒めの言葉を頂くこともあります。しかしながら私が行っていることは他の医療行為と同様に、治癒(ちゆ)の手助けをしているに過ぎません。私が治しているのではなく、生体が自分で治っていくのです。

少し難しくなりますが、以下、説明させていただきます。

生体は体の中に非自己〔免疫学上、免疫系が自己と認識しない、生体内外の物質のこと〕
があると、それを異物として体外に出そうとします。
歯根が破折すると、その部分に感染を来します。生体はそれを非自己と認識し、肉芽(にくげ)組織で取り囲み、健全な組織から隔離します。私たちから見ると、歯根が破折すると腫れて膿が出るようになり、やがてグラグラしてくる状態です。

次に肉芽組織で取り囲まれた破折した歯根はやがて生体の外に押し出されます。それは私たちから見ると歯が抜け落ちる状態です。

歯根破折保存治療は歯根がこの肉芽組織で取り囲まれた状態で行われます。いったん抜歯して、肉芽組織を綺麗に取り去り、感染歯質を取り除き、破折部分を生体為害性のない接着剤で補修して戻してあげます。
すると生体はこれを自己と認識し、肉芽組織で取り囲むことなく、歯根膜組織および骨組織が再生し、健常な状態に戻っていくのです。

治療前のレントゲン写真で見ると歯根周りの骨がかなり失われていて、これは再植保存治療をしても助けられないかな?と思われる症例でもかなりの割合で助かるのです。
もちろんそれまでに失われた歯槽骨等はすぐには再生しませんので、完全に近い状態に戻るにはある程度の時間はかかりますが、時間の経過とともに戻っていきます。

この現象を簡単に言ってしまえば、生体は悪いものを取り除いてあげれば、自己治癒能力により、回復していくということです。人間の体って凄いなぁと、改めて驚かされます。

吉田デンタルクリニック
院長 吉田 浩一

microbe and red blood cells

ブラキシズムとTCH

こんにちは、歯科衛生士の児嶋です。
4月14日の日曜日、いつも材料や機材でお世話になっているK.O.デンタルのフェアーへ、
先輩歯科衛生士の青山さんと一緒に行って来ました。

会場の東京ビッグサイトのホール内では各メーカーからブース出展があり、様々な機材を試す事ができます。また、各種セミナーも用意され、私達歯科従事者にはとてもワクワクし、勉強になる催し事なんですよ。

当院では歯根破折のご相談をされる方が多いので、日々の診療で感じていましたが、
私の受講したセミナーでも、講師の先生が、近年歯根破折が増えていると仰っていました。

皆様の健康観やデンタルIQが向上し、虫歯や歯周病に患う歯が減少してきました。
その一方、かみしめ・くいしばりが原因の一つとなる、歯根破折や知覚過敏の症状がお口の中のトラブルとして増加しているのです。

この、かみしめ・食いしばりはブラキシズムと呼ばれ、3種類に分類されます。

1.グラウンディング
上下の歯をグリグリと擦り合わせる運動です。
睡眠時に多く、ギリギリと音を立てます。
皆さんが想像する歯ぎしりはこちらが主です。

2.クレンチング
上下の歯を強くかみしめる運動。
日中におきている状態で多くみられ、無意識に発現。
自覚、他覚症状がないため、こちらからお伝えするまで、気付いていない方が多いです。

3.タッピング
上下の歯をカチカチとかみあわせる運動。
こちらも起きている時にも起こります。

また、通常上下の歯は接触せずに、数ミリほど空いているのが正常な状態ですが、常に接触した状態が続き、歯や歯周組織に負担をかける事があります。
これをTCH(Tooth Contacting Habitの頭文字、上下歯列を無意識にくっつけている癖の事)と呼びます。
1日に上下の歯が接触して良い時間は約20分といわれています。
これは食事の時間も含めてです。短いと思いませんか?
今、上下の歯が接触している方、すぐに離して下さいね。

ブラキシズムやTCHは歯の破折や知覚過敏のリスクを高めます。他にも歯周病の進行、虫歯でもないのに詰め物が外れる、顎関節症等様々なトラブルを起こす要因になります。

当院では歯根破折保存治療やかみ合わせの治療、ナイトガードの作製を行なっております。
ご興味がありましたら、お気軽にお声かけ下さい。

歯科衛生士 児嶋

「あ、それは噛まないでください」

最近忙しくてブログをサボっている私ですが、特に歯根破折についてのブログが減っているなぁと感じています。何故かというと、歯根破折の治療が日々行われるようになり、特筆すべきことが減ってきたように思うのですが、今日は久しぶりにブログに書いて、是非、皆さんにお伝えしたい!と思うことがありました。

本日、破折治療を行った歯に被せ物をして、治療が終了した患者さんのお話です。
破折治療が終了する際、院長先生は必ず患者さんに「一度修復した歯なので、もうあまり硬いものは噛まないでください」と注意を促すのですが、患者さんは何が硬いか、よくわからないものなんですね。

以下、患者さんと院長先生の会話です。

患者さん「肉はいいですか?」
院長先生「肉は大丈夫です」(でもお肉によっては硬いのもありますよね・・・と菊地は思いました。)
患者さん「クルミはどうですか?」
院長先生「カラですか?(院長先生は冗談のつもり)
患者さん「そうです」(真顔で)
院長先生 「あ、それは噛まないでください」
患者さん「あ、そうですか・・・」

アシストについていた歯科衛生士の兒嶋さんもその会話にびっくりしたようですが、クルミの殻って、クルミ割りの器具があるほど固いものですよね。(クラシックバレーのクルミ割り人形ってくるみを割るための人形のことですものね。)

そんなに硬いものかじったら、健康な歯だって割れてしまうかもしれません。院長先生によると、奥歯でそんなに硬いものを噛んだら、関節も壊れるとおっしゃっていました。

私達は仕事柄、どれくらい硬いものを噛んだら歯に良くないか、何となくわかっているのですが、患者さんはやっぱりご存知無いのですね。

最近、先生が院長のコラムで書いておられますが、人生100年時代、永久歯は生え変わらないので、今ある歯をずっと使っていかねばならないのです。
皆様、硬いものをかじって歯を酷使すると、歯が割れちゃいますよ、

柔らかいものばかりじゃ食事はつまらないけれど、この歯をずーっと使って行かねばならないんだ、ということをちょこっとアタマの片隅に置いて頂き、歯をいたわっていただけると、私達はとても嬉しいです。♪

吉田デンタルクリニック
受付 菊地

この歯と100年生きていく

リンダ・グラットン 著「ライフ・シフト」という本に記されているように、これからの若い人は人生が100年になっていくようです。

戦国時代の武将、織田信長の言葉に「人間50年」という文言があります。
本来は平均寿命のことを指しているのではありませんが、1600年代の人たちに較べ、2000年代の人は倍も生きていくことになりました。従いまして、臓器を含めた体もこれまでの2倍、使っていくことが要求されます。歯に関しても同じです。

「8020(ハチマルニマル)運動」というものをご存知でしょうか。
満80歳で20本以上の歯を残そうとするのが主目的で、運動が開始された1989年の達成率は15%程度でしたが、近年では50%に達したとされています。
現在、日本には100歳以上の方がおよそ7万人いらっしゃるようです。この方々に何本の歯が残っているかは不明ですが、「10020(ヒャクマルニマル)」の達成率はかなり低いものと思われます。歯には定年制度というものがないので、これまで以上に長く働くことが要求される歯も大変なことです。

では100歳まで長く歯を残していくにはどうしたらよいのでしょうか。

月並みなお答えになりますが、毎日の正しいセルフケアと、定期的なプロフェッショナルケアが大切です。定期的に歯科医院に通うことにより、歯周病や虫歯になってしまった場合でも、早期発見が可能ですし、ご自身の歯に対する意識の高まりが期待されます。

歯を失う理由としては ①歯周病、②虫歯、③歯根破折の順となっています。
当院では虫歯のチェックには目視に加えレーザーを使用しており、客観的な数値で患者さんに虫歯の状況をお伝えするのですが、「まだ痛くないから・・・」と、治療されない患者さんもいらっしゃいます。
ただ、痛みが出たら神経まで感染が及んでいる可能性が高く、神経を取る治療が必要になります。神経を取ることにより歯根破折を起こしやすくなり、歯の喪失への大きな前進です。

また、虫歯は一旦治療すれば、もう虫歯にならないとお考えの方もおられるのですが、それは大きな誤解です。修復物と歯の隙間から虫歯菌が侵入し、二次虫歯になる可能性は充分にあります。この二次虫歯になる時期をいかに先延ばしにするか?が、歯を長く残すためには、とても重要なのです。

二次虫歯を防ぐためには、詰め物・被せ物の精密な型採りを行い、丁寧な修復治療をしてもらうことに尽きますが、当然、時間と費用がかかります。しかしここで投資しておかないと、その先の治療には更に多くの時間と費用が要求され、それが受け容れられない場合には歯の喪失に向かってまっしぐらでで、とても100年は使えません。

如何にきちんとした治療を受け、再治療を先延ばししていくか?が長く使えるかどうかのポイントになります。

私はこの点をコンサルテーション時に患者さんに力説しているのですが、「前歯は綺麗なのがいいので白いセラミックにするが♪、奥歯は見えないから(精度の低い)銀歯で大丈夫♪」という方が多いのが現実です。これでは「奥歯は早く失っても構わない。」と仰っているのと同義です。
私の説明が不十分なのかもしれませんが、一度抜けたら二度と生えてこないご自分の歯を、どれだけ長く使う必要があるのか?という自覚が、残念ながらあまり認識されていないことを痛感します。

歯が無くなってしまえば、入れ歯やインプラントで修復可能ですが、入れ歯はその使い勝手からQOL(生活の質)が下がることが懸念されます。またインプラント治療は外科手術を伴いますので、誰でも簡単に受けられる治療ではありません。
また、受けられたとしても、高額な費用とエネルギーが要求されます。(抜歯を宣告されたが、抜歯したくないとお考えの方は、歯根破折保存ページを参考になさってください。)

皆さん、頑張ってご自分の歯を100年使いましょう。しかし、かく申す私も昨年、1本の歯を失ってしまいました。残った27本をあと40年使っていかなければ!です。