夢の歯生え薬???

こんにちは、歯科衛生士の児嶋です。
先日“歯生え薬”開発のニュースを目にしました。
そのネーミングから、髪の毛の様に歯が生えるの?と驚き、一瞬、耳を疑いましたが、私の聞き間違えではなく、歯が生える薬の開発が進んでいるというお話でした。以下に内容をまとめてみました。

京都市のベンチャー企業の“トレジェムバイオファーマ”は、京都大学医学研究科の呼びかけにより、歯科医師が代表取締となり、昨年会社を設立。歯生え薬の開発に取り組んでいるそうです。
以前からの研究で、人間の細胞内には乳歯・永久歯の次にも歯の芽(第3の歯)が存在していることが判明していました、その第3の歯の、成長と生え替わりを防いでいるタンパク質があり、そのタンパク質の働きを中和する抗体を今回開発したのです。
中和抗体を局所投与し、第3の歯を生やす治療法の開発を進めており、マウスやイヌで試したところ、それぞれ成功し、歯が生えたようです。
人間では、先天性無歯症(生まれつき一部の歯が生えてこない状態)の人を対象に、
2030年の販売を目指しているとのこと。

皆さんもご存知だと思いますが、現在、人間の歯は、乳歯から永久歯に生え変わると、その後は新しく歯が生え変わる事はありません。
そして失った歯の代わりを、ブリッジ・義歯・インプラントで補う治療がありますが、いずれも人工物で補う事になります。
今後この中に、自分の歯である、第3の歯を生やすという新たな治療の選択肢が増える日が来るのでしょうか、夢のような開発ですね。実現する日を待ち望んでいます。

吉田デンタルクリニック
歯科衛生士 児嶋

私の母校は慶応大学になるのでしょうか。

先日の日本経済新聞1面にも出ていたのでご存知の方もおられるかもしれませんが、私の母校である東京歯科大学が2023年4月をめどに慶應義塾大学と合併するにあたって、協議を開始したということでした。「東京歯科大学が慶應義塾大学に吸収合併される」という表現の方が正しいかもしれません。

東京歯科大学は130年の伝統を誇る日本最古の歯科大学であり、歯科医師国家試験の合格率1位を維持している歯科界では名門校ではありますが、歯科医師過剰が叫ばれるなか、単科大学としてそのブランドを維持することは経営的にも厳しく、また、慶応義塾大学にとっても新たなに歯学部を持つことができるわけですから、総合大学としての強みが増し、双方にとって、win-winの合併であると思います。

ただ、この合併はにわかに持ち上がった話ではなく、関係者の間ではずっと以前から時々、持ち上がっていたものと思われます。
もう60年以上昔のことですが、私の父が博士の学位を取る際、まだ、歯学博士という資格が日本に存在せず、父は主任教授の出身大学であった慶応義塾大学の医学部で学位を取ったため、医学博士ということになっています。そのころから慶応義塾大学と東京歯科大学はつながりがありましたし、現在、新型コロナ関連の報道番組で、しばしばコメントを求められている東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅教授も慶応義塾大学の出身であり、多くの慶應義塾大学出身の医師が東京歯科大学に在籍しておられます。

これまで私が専門治療のために母校の大学病院に紹介した患者さんで、治療が終わって当院に戻られると「東京医科歯科大学に行ってきました。」と仰る方がいらっしゃいましたが、御茶ノ水には東京医科歯科大学と日本大学歯学部、水道橋には東京歯科大学、飯田橋には日本歯科大学と、似たような名前の歯科大学が沢山あり、患者さんが混乱されるのも無理もありません。けれども今後は慶應義塾大学歯学部附属病院に紹介することになるでしょうからもう大丈夫ですね。

ただ、私を含め、東京歯科大学には一族揃って東京歯科大学卒という歯科医師が珍しくなく(かく申す私も祖父・父・弟、全て東京歯科大学卒です)、東京歯科大学同窓の母校愛は非常に強いと思います。その点も慶応義塾大学も校風が似ているのですが、ただ、母校の大学名が消えてしまうことに、一抹(以上の)の寂しさを覚えます。

コロナ禍を通して日本人の特性を考える

先日、「COVID-19(新型コロナウイルス感染症)を考える」という講演会が東京で開催されました。
5人の先生方のお話は全て大変有用でしたが、新型コロナウイルス感染症対策分化会長、尾身茂先生の講演内容が特に印象に残りました。

皆様ご存知の通り、新型コロナウイルス感染症の日本における感染者数は欧米と比較して低い水準にあり、これは医療関係者、保健所スタッフ、一般市民の協力の賜物とのことです。この「一般市民の協力」とは日本独特であり、日本人の特性に由来するように思います。

日本人は基本的にきれい好きです。また、コロナ禍以前よりマスク着用に抵抗がありません。よって必然的にウイルスに感染する機会が少なくなります。
また、真面目で従順な性格であり、非常事態宣言が発令されると、罰則が無くてもこれに従います。海外では罰則規定があるロックダウン状態でも従わない人が多く見られたようです。

また、日本人は突出することを好まない傾向にあり、周りの人がマスクを装着していると自分も装着します。装着しないでいると周囲から白い目で見られている様で不安になります。
挨拶は一般的にお辞儀で、握手、ハグあるいはキスといった接触を伴う行為を行いません。

上記のような日本人の特性は、これまではどちらかというとマイナス面として取り上げられることが多かったように思います。一昔前の外国映画で日本人がお互いに深々と頭を下げ、延々とお辞儀をする場面が滑稽に描かれていましたが、コロナ禍に於いては、これが俄然、強みとなっています。

ただ、普段は穏やかな日本人でも一旦、アルコールが入ると賑やかになり、居酒屋を外から眺めると、至近距離で会話をしている姿が多く見受けられます。尾身先生によりますと、クラスターを制御できれば感染の大爆発を防げるとのことでした。
北海道では東京に並ぶほど感染者数が大幅に増加していますが、これは対岸の火事ではなく、気温が下がり、換気がままならなくなれば、どの地方でも起こり得ることです。

講演でも指摘されていましたが、歯科医師は感染リスクの高い職業のひとつであると言われています。しかしながら今のところ、歯科医院内で患者さんから歯科医師へ感染した、あるいは歯科医院内で患者さんが感染したという事例は発生しておりません。
東京も寒さに向かい、厳しい状況ではありますが、私も真面目な日本人歯科医師の一人として、更に気を引き締め、“with CORONA”に対処して参ります。

吉田デンタルクリニック 
院長 吉田 浩一

「病院は戦場」

4月29日の日本経済新聞に「病院は戦場」という記事が掲載されました。その中の記載です。

“医療スタッフの疲労やストレスは限界を迎えているという。診療中に突然、涙ぐんだ若い医師。「家族のために離職したい」と漏らす看護師。深夜勤務を終えて帰宅しても気が張ってなかなか寝付けず、就寝は午前2時ごろ。4時間後には起床する。”

私はここまで読んで思わず涙がこぼれました。私は歯科医師ですが、強く感じるものがあります。私自身、診療時間外であっても、緊急性が高い場合、スタッフを帰して一人で治療にあたることがあります。小さい頃から歯科医師である父の背中を見て育ち、また、6年間の歯科医学教育を受ける中で、そういった魂が体の中に形成されているのだと思います。

コロナ禍のなか、医療従事者は危険な現場に赴いても特別に収入が増えるわけでもなく、表彰されるわけでもありません。それでも彼らは出ていきます。
何が彼らにそうさせているのでしょうか。この記事は「人命を救う医師であるという自負だけが、今の自分を支えている。」という医師のコメントで結ばれています。

医療従事者が命の危険を冒して治療に当たる中、その一方で自粛要請を無視してパチンコに出かける人、新鮮なものが食べたいと、毎日、3密のスーパーに買い物に出る人たちもおられます。
このような方たちが感染・発病した場合にも現場の医師は治療に当たります。しかも治療費は国家の方針に協力している国民から徴収された健康保険料や税金が使われているのです。
何か理不尽な思いがします。

当院では緊急事態宣言発令後、診療日数を週5日から4日に減らしながら診療を続けています。歯科疾患でお困りの方たちがいらっしゃるからです。感染の危険性を感じながら出勤し、感染対策を施しながら緊張感を持って業務に従事してくれるスタッフには心から感謝しています。

現時点では適切な防護策が採られている場合、歯科医療スタッフと患者さんとの間に濃厚接触はないと考えられています。滋賀県の歯科医院でクラスターが発生したことが報じられていますが、これはスタッフ間での感染であり、歯科医療とは関係がありません。当該医院の患者さんからも感染者は出ていません。

これに関しては、歯科は新型コロナウイルス感染症の最前線で治療にあたっている医療現場と異なる点と言えましょう。ただ、大前提に「適切な防護策が採られている」ということがあり、医療資材の供給が極端に逼迫している現在、どこまで続けられるか?という不安があります。

幸い感染の状況は好転しつつあるようですが、第二波が来る前に、潤沢な医療資材が供給されることを祈るばかりです。

Tired female doctor in scrubs, perhaps after an exhausting surgery

「コロナと世界」(『ニューノーマル』という認識)

現在、日本経済新聞一面に連載中の「コロナと世界」というコラムに大変、興味深い内容が掲載されていました。WHOシニアアドバイザーの進藤奈邦子氏に対するインタビューを記事にしたものと思われます。

「新型コロナの教訓は何でしょうか。」という質問に対し、「21世紀に入って経済や社会活動は点から線に、線から面に、面から立体になっている。今までと物事のスピードが圧倒的に違い、感染症も瞬時に拡大する。新型コロナは異常事態ではなく、『ニューノーマル(新常態)』ととらえて対策を打たなければならない」と応えられていました。

これはどういうことでしょうか。
私の解釈ですが、今回のウイルス感染は起こるべくして起こったもので、それに対し、右往左往せず、必然の事象として受け止め、それに順応して生きていく必要があると感じています。
ウイルス感染拡大は当然、忌避すべきものではありますが、それを嘆いてばかりいても始まらない。正面から受け止め、対処していくことが大切だと思われます。

 感情に左右されず、科学的に正しい行動を取ること。
 専門家の打ち出した方策をはっきりと示し、トップに立つ者はこれをやり抜くリーダーシップを発揮すること。

今の日本には後者が欠けていると感じられます。現在の日本の法律には強制力が無いといいますが、自衛隊の海外派遣に対しては憲法の解釈を強引に曲げてまで遂行するのに、事ここに至っては強い意志がみられません。もちろん国家の強制力が戦争に繋がったことを心配する声があることは承知しています。そういったことに対する配慮も必要でしょう。

この新しい常態に望んでいくにあたり、私たち一人ひとりの意識改革が重要であると思われますが、その事を認識させていく強いリーダーの出現が待たれます。

そうは言ってはみたものの、わが身を振り返ると患者さんとスタッフの健康を守りつつ、かつ、歯科医療を行うという社会的責任を果たすため、何が最善なのか、自問を繰り返しています。

お薬が与える口腔内への影響について(歯科治療と内服薬)

こんにちは、歯科衛生士の児嶋です。
今回は歯科治療と内服薬のお話です。

人間にとって、お口は食べ物が身体に入っていく過程での最初の消化器であり、身体と口腔内はお互いに影響を及ぼしあっています。

持病や常用薬によっては歯肉から出血しやすくなったり、腫れやすくなる事があるのを皆さんはご存知でしょうか?
丁寧に時間をかけて歯を磨いているのに出血する、歯肉がブヨブヨしている、こんな事はありませんか?歯肉と睨めっこをしていても解決しませんので、一度、歯から離れてみましょう。

原因はお口の中以外にあるかもしれません。
私が定期検診を担当している患者さんのお話です。
最初に拝見した際に歯肉全体に腫れがあり、プラークコントロール(ブラッシングで歯垢を除去すること)が不十分でした。
まずは口腔内の環境を整える事が大切だと思いましたので、検診とクリーニングやブラッシング指導を受けていただく為に、定期的な来院をお願いしました。

熱心にブラッシングに取り組んで下さった結果、以前に比べてプラークコントロールは良くなりました。ただ、歯肉のプクプク感は取れず、単純な歯肉炎以外の原因が考えられました。

改めてお身体や常用薬について伺うと、初診時には服用していなかったので、問診票には記入されていなかったけれども、現在では歯肉が出血しやすくなる薬を服用されている事がわかったのです。

口腔内に影響を与える主なお薬としては、カルシウム拮抗剤(降圧剤)、フェニトイン(抗てんかん剤)、シクロスポリン(免疫抑制剤)、ワーファリン(抗凝固薬)、骨粗しょう症薬、抗うつ薬や抗精神病薬など様々なものがあります。
症状としては、口腔内の乾燥や歯肉の増殖・出血などが挙げられます。また抜歯や手術の際には、注意が必要となるお薬もあり、薬の種類によってば休薬をお願いする場合もあります。

リスクがある方には定期検診の間隔の調整や、ホームケアの強化や清掃器具を変更する事がありますし、治療では、医科との連携、治療内容や時期の検討も必要となります。

もちろん、外科処置が必要な際には、事前に必ずこちらから確認をしていますが、常用薬やお身体に変化があった場合には、必ず診療前にお申し出ください。
また、歯科治療の支障になるからと、自己判断による服用中断は大変危険ですので、必ず主治医にご相談下さいね。

吉田デンタルクリニック
歯科衛生士 児嶋

院内の感染防止対策について

こんにちは、歯科衛生士の児嶋です。
寒く乾燥している日が続いておりますが、皆さま、いかがお過ごしでしょうか?
この季節インフルエンザが流行しますので、気を付けていらっしゃる方も多いと思います。
外出時のマスクの着用や、帰宅時の手洗い・うがいはとても大切ですね。

最近気になっているのが、今月9日に中国で発生した原因不明のウイルス性肺炎で新型コロナウイルスが確認されたことです。
また、日本でも近年、風疹や梅毒が急増し、様々な感染症が問題になっています。

歯科治療では、唾液や血液に接する機会が多く、私たち医療従事者が感染しない事はもちろん、患者である皆さまの安全がとても大切です。

先日、当院の臨時休診日を利用して、院内感染対策の講義を受けて参りました。
今回は第二種・第一種歯科感染管理者という、専門の資格をお持ちである歯科衛生士の横井節子先生からご指導いただきました。診療器具の洗浄・消毒・滅菌の基本知識から、管理や院内の環境など細かな部分まで、専門の方から改めて説明を受ける事で気持ちが引き締まりました。

数年前、歯科医院でのタービン類の使い回しが大きな問題となりましたが、当クリニックでは、開院時より院内感染防止に力を入れており、清潔な環境で高度な治療を受けていただきたいという院長先生の想いから、スタンダードプリコーション(標準予防策)を実践しています。

スタンダードプリコーションとは感染の有無に関わらず、患者さんの汗を除く全ての血液・体液、分泌物、排泄物、創傷のある皮膚・粘膜は伝播しうる感染性微生物を含んでいる可能性があるとして取り扱う考え方です。
この考えに基づき、当院では出来るだけディスポーザブル(使い捨て)製品を取り入れ、タービンやドリル等も含め、患者さん毎に使用する全ての器具の滅菌を徹底し、安全な治療環境の提供に努めています。

吉田デンタルクリニック
歯科衛生士 兒嶋

*スタンダードプリコーションとは?
1996年にアメリカ疾病管理予防センターが作成・推奨した考えであり、国際基準となっています。
日本でも医療法に定められており、吉田デンタルクリニックの院内マニュアルにも記載されています。

AIに負けるな!歯科技工士 

院長の吉田です。
今、AI(人工知能)の発達により、将来、消え去るであろう職業が挙げられています。

歯科医師はその性格上、今のところ、対象外と言えましょう。ただ、修復物を作製する歯科技工士に関しては、いくつかの問題が浮上しています。

一つ目の問題は人手不足です。医療費の上昇が抑えられ、診療報酬が伸び悩むなか、歯科医師はコスト削減のために、修復物を作製する技工料を抑えようとします。そのため歯科技工士の収入も下がらざるを得ません。

また、技工料の安い中国等への依頼も考えられます。これでは国内で優秀な歯科技工士は育ちません。以前のコラムでも書かせていただきましたが、当院でお願いしている技工所でも、若手はすぐ辞めてしまうと嘆いておられます。

もうひとつはデジタル技術の導入です。
現在、歯科医師は歯を削ったあと、その形態を歯科技工士に伝えるために、「印象採得」という型どりをし、そこに石膏等の模型材を注入して口腔にを再現するのが一般的です。ところが、現在では写真を撮るだけで、そのデータを技工所に送り、CAD/CAMで作製し、完成したものが歯科医院に送付されてくるという世界になりつつあります。

もちろん、このデータから修復物を作成する過程に歯科技工士は関与しますが、ほとんどの部分を機械がこなし、あとの部分は誰でもできるようなシステムです。この過程に歯科技工士の「巧み」が入る余地はありません。現在の段階ではこのシステムには限界があり、従来の型取りが一般的です。

しかしながら将来、このシステムに完全に置き換わる可能性は高いです。そうなると熟練歯科技工士はほとんど必要なくなってしまいます。また、歯科医師の「印象採得」の技術も不要になり、どの歯科医師でも正確な「写真」が取れればOKというようになります。

本当に歯科技工士はいなくなってしまうのでしょうか。職人技は不要になるのでしょうか。世の中の物事の進みが非常に早く、私にも分かりません。しかしながら、この数年で大きく変わることは無いと思います。歯科技工士のみなさん、目標を持って頑張りましょう。
歯科技工士は私達 歯科医師にとって大切なパートナーなのですから。

吉田デンタルクリニック
院長 吉田 浩一

この歯と100年生きていく

リンダ・グラットン 著「ライフ・シフト」という本に記されているように、これからの若い人は人生が100年になっていくようです。

戦国時代の武将、織田信長の言葉に「人間50年」という文言があります。
本来は平均寿命のことを指しているのではありませんが、1600年代の人たちに較べ、2000年代の人は倍も生きていくことになりました。従いまして、臓器を含めた体もこれまでの2倍、使っていくことが要求されます。歯に関しても同じです。

「8020(ハチマルニマル)運動」というものをご存知でしょうか。
満80歳で20本以上の歯を残そうとするのが主目的で、運動が開始された1989年の達成率は15%程度でしたが、近年では50%に達したとされています。
現在、日本には100歳以上の方がおよそ7万人いらっしゃるようです。この方々に何本の歯が残っているかは不明ですが、「10020(ヒャクマルニマル)」の達成率はかなり低いものと思われます。歯には定年制度というものがないので、これまで以上に長く働くことが要求される歯も大変なことです。

では100歳まで長く歯を残していくにはどうしたらよいのでしょうか。

月並みなお答えになりますが、毎日の正しいセルフケアと、定期的なプロフェッショナルケアが大切です。定期的に歯科医院に通うことにより、歯周病や虫歯になってしまった場合でも、早期発見が可能ですし、ご自身の歯に対する意識の高まりが期待されます。

歯を失う理由としては ①歯周病、②虫歯、③歯根破折の順となっています。
当院では虫歯のチェックには目視に加えレーザーを使用しており、客観的な数値で患者さんに虫歯の状況をお伝えするのですが、「まだ痛くないから・・・」と、治療されない患者さんもいらっしゃいます。
ただ、痛みが出たら神経まで感染が及んでいる可能性が高く、神経を取る治療が必要になります。神経を取ることにより歯根破折を起こしやすくなり、歯の喪失への大きな前進です。

また、虫歯は一旦治療すれば、もう虫歯にならないとお考えの方もおられるのですが、それは大きな誤解です。修復物と歯の隙間から虫歯菌が侵入し、二次虫歯になる可能性は充分にあります。この二次虫歯になる時期をいかに先延ばしにするか?が、歯を長く残すためには、とても重要なのです。

二次虫歯を防ぐためには、詰め物・被せ物の精密な型採りを行い、丁寧な修復治療をしてもらうことに尽きますが、当然、時間と費用がかかります。しかしここで投資しておかないと、その先の治療には更に多くの時間と費用が要求され、それが受け容れられない場合には歯の喪失に向かってまっしぐらでで、とても100年は使えません。

如何にきちんとした治療を受け、再治療を先延ばししていくか?が長く使えるかどうかのポイントになります。

私はこの点をコンサルテーション時に患者さんに力説しているのですが、「前歯は綺麗なのがいいので白いセラミックにするが♪、奥歯は見えないから(精度の低い)銀歯で大丈夫♪」という方が多いのが現実です。これでは「奥歯は早く失っても構わない。」と仰っているのと同義です。
私の説明が不十分なのかもしれませんが、一度抜けたら二度と生えてこないご自分の歯を、どれだけ長く使う必要があるのか?という自覚が、残念ながらあまり認識されていないことを痛感します。

歯が無くなってしまえば、入れ歯やインプラントで修復可能ですが、入れ歯はその使い勝手からQOL(生活の質)が下がることが懸念されます。またインプラント治療は外科手術を伴いますので、誰でも簡単に受けられる治療ではありません。
また、受けられたとしても、高額な費用とエネルギーが要求されます。(抜歯を宣告されたが、抜歯したくないとお考えの方は、歯根破折保存ページを参考になさってください。)

皆さん、頑張ってご自分の歯を100年使いましょう。しかし、かく申す私も昨年、1本の歯を失ってしまいました。残った27本をあと40年使っていかなければ!です。

歯科医師人生における4人の師 ②

前回に引き続き私のメンターと言える4人の先生のうち、残りのお2人について紹介させて頂きます。私が歯科医院を開業してからお世話になったカリフォルニア在住のTeru Harada(てる はらだ)先生と、眞坂歯科医院の眞坂信夫(まさか のぶお)先生です。

まずHarada先生についてです。
私がまだ開業して間もないころ、カリフォルニア州パロアルトで開業されている同先生によるドーソン咬合(噛み合わせ)理論の講習会の案内が歯科雑誌に掲載されていました。咬合が極めて大切である歯科補綴(しかほてつ)学の講座に在籍していたにもかかわらず、確固たる咬合理論を身につけていないことがずっと気になっていた私は、思い切って数日間休診し、この講習会に参加しました。

日本語と英語が混じる奇妙なレクチャーでしたが、その内容に感銘を受け、その後も5回、先生の講習会に通いました。その後、Harada先生が来日してレクチャーをするようになったため、日本でのコース開催に携わるようになりました。
下の画像は2005年に当院で行われた講習会のものです。

Harada先生からご教示頂いた咬合理論は現在の私の治療の根幹となっています。
この咬合理論の習得無くしては自信を持って治療を行えなかっただろうと思うと、思い切ってパロアルトに行って良かったなとつくづく思います。Harada先生は数年前にリタイアされ、お目にかかる機会もなくなりましたが、私の好きなワインの産地ナパ・バレーにも近い先生のお宅をまた訪ねてみたいと思っています。

最後は破折歯保存治療についてご教示頂いた眞坂信夫(まさか のぶお)先生です。
東京歯科大学の大先輩ですので、以前からお名前は存じあげておりましたが、6年ほど前、大学の同窓会主催の講習会で歯根破折の治療についてお話を伺う機会を得ました。

学生時代、大学では破折した歯の治療方法は抜歯と教えられてきましたので(現在も同じだと思います)歯根破折症例に対しては、私もそれまでは教科書通りに何の迷いも無く抜歯を行って参りました。

歯根が割れた歯を残すことができるなんて、まさか(眞坂)ね・・・」と、最初は半信半疑だったのですが、先生のお話が進むにつれ、治療の理論背景がしっかりしており、長期の経過症例を見せていただいたことにより、頭の中に一筋の光が走ったような衝撃を感じました。

その後、眞坂先生が個人的に講習会を開催していることを知り、すぐに参加いたしました。以来、この治療法を自分の臨床に導入し、多くの患者さんの歯を保存することができました。

私の専門は失われた歯をインプラントブリッジ・義歯などで補うこと=補綴(ほてつ)ですが、歯を失わずに済めば、患者さんにとってはその方が遙かに望ましいことだと思います。
実は、私自身の歯にも信頼できる先生に本法で加療していただき、1本保存することができました。自分自身で受けているのでよく分かるのですが、歯を抜かずに残せたときの喜びは非常に大きいものです。受付で涙を流される患者さんもおられます。

このような治療法を開発され、ご自身の専売特許とするのではなく、後輩の歯科医に教えて下さった眞坂先生には本当に感謝しております。私より17年先輩ですが、非常にお若く、自ら講習会や勉強会を開催され、またWEB会議を取り入れるなど、新しいことにもどんどん挑戦されているお姿には感動させられます。

ここまでに紹介させていただいた4人の先生方、いずれが欠けても、歯科医師としての現在の私はありませんでした。このような先生方に出会う機会を与えて下さった神様に感謝せずにいられません。

4人の先生方から教えて頂いたことは、私もいずれ、後輩達に引き継いでいきたいと考えております。