天野篤先生の教え

先日、私が所属しているインプラントに関する勉強会、Club22(22はインプラントの素材であるチタンの原子番号)の勉強会が開催されました。勉強会ではいつもどなたか外来の講師をお招きし、特別講演をしていただくのが恒例となっています。今回の講師は上皇陛下の心臓手術を担当されたことで有名な順天堂大学教授の天野篤先生でした。

以前、私は天野先生の著書を拝読したことがあり、講演の内容は既に知っていることも多く、スムーズに頭の中に入ってきました。医師としての考え方やキャリアの積み上げ方など、これからの私にとって進むべき道を考えさせられる内容が多かったのですが、その中で特に最近、私自身が考えていることと合致するお話があり、非常に共感を覚えました。

それは、「同じ結果が出せるなら、仕事はスピーディーな方が良い」ということです。

治療時間が短縮されることにより、患者さんの身体的な負担も軽くなりますし、限られた診療時間内に、より多くの患者さんを治療できるようになります。奇しくも先日、「先生は手が早いですね!」との患者さんのコメントを受付がブログで書いておりました。

以前の私は、各患者さんに十分(過ぎる)時間をとり、ゆったりと仕事をしていました。その方が良い仕事ができると考えていたからです。ところが、最近は歯根破折保存治療を希望される患者さんが増え、患者さんにとっては、抜歯か否かの瀬戸際ですので、少しでも早く診てほしいとキャンセル待ちをされているような状況です。歯科医師1名体制の当院の許容を超える状態となり、これではダメだと考えるようになりました。

「患者さんのご希望に沿うためにはどうしたらよいか?」、自分自身に喝を入れて意識を変え、術式も工夫し、以前の3分の2の時間で処置を行うことができるようになりました。
このようにお話すると、ブログの患者さんのお言葉ではありませんが、手抜きでは?とお感じになる方もおられるかもしれませんが、術式の変更前後で得られる結果には変わりはありません。

ただ、このシステムを遂行していくためには治療前の準備と治療後の整理が必須となります。準備は前日の診療終了後に始まり、翌日の全ての患者さんの治療内容を確認し、頭の中でシミュレーションを行い、効率的な手順を検討します。翌日の治療時に手や頭が働かないような無駄な時間を作らないように集中し、診療終了後は限られた時間内に記録できなかった内容をカルテに記載していきます。ここまでやって1日の診療が終了です。

世の中では働き方改革が叫ばれ、当院でもスタッフにはなるべく残業を減らし、自分の時間を確保するように指導しているのですが、わが身を顧みると、全く世の流れに逆行しているようです。
神の手を持つ天野先生だったらもっと効率的に仕事ができると思うのですが、私は凡人なので、同じようには参りませんね。それでも来年からは更なる効率化を図り、診療室での滞在時間を多少なりとも短縮していきたいものです。

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