歯根破折のメカニズム  コアは大切 その ①

皆さんは歯科治療で用いられる「コア」をご存知でしょうか?
英語であるコア(core)の一般的な意味は、「中核」とか「主要部分」ということです。

神経を取った歯は、見た目は変わらなくても栄養分が行きわたらないため、枯れ木のようなもので、強度が低く、割れやすくなります。これを防ぐために一般的に歯全体を覆うクラウン(被せ物)を装着するのですが、その中に入れるものが歯科医療においての「コア」なのです。
コアは失われた歯質や神経の入っていたスペースを補い、歯の内部の形態を整え、強度を高める働きがあります。

コアの材質としては、従来より金属(メタル)が多く使われてきました。このメタルコアですが、硬くて丈夫、加工がしやすい反面、金属は歯質より硬く、しなりが無いことが欠点で、歯根の一部に応力が集中し、歯根破折の一因であるとされてきました。

このメタルコアに代わって現在、主流になりつつあるのがファイバーコアです。
プラスチックの中にグラスファイバーのピンを入れた強化プラスチック製で、金属より柔らかく、たわむことができるため歯質の硬さに近く、歯根破折を起こしにくいとされています。
よく勉強されている患者さんの中には「私のクラウン修復で用いられるのはファイバーコアですか?」と尋ねられる方もいらっしゃいます。

当院では歯根破折保存治療を長く行っているため、毎日のように歯根破折の患者さんがお越しになりますが、その殆どの症例でメタルコアが装着されています。
メタルコアに破折が多い理由については先にお伝えしたように、①金属が硬すぎるため、②メタルコアの歴史が長く適用症例が多いためと思われますが、なかにはファイバーコアで破折を起こしている症例もあり、第3の理由として、これまでのコアの治療がおざなりになっていたからではないか?と最近考えるようになりました。

少し長くなりますので、コアに起因する歯根破折のメカニズムについては次回のコラムで説明させて頂きたいと存じます。

吉田デンタルクリニック 
院長 吉田 浩一

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公開日:2022/01/14